むしのいき
コンパクトかざし睫毛の手入れする娘もゐるか昼の電車に
デートに行くとばかりは限らず、殆ど女としてのたしなみといふ以前の習性でせうか。外回りで乗る電車なかにしばしばみうけられます。
怠けゐて既に初夏隣り合ふ娘の和毛日に透かしみる
毛の生え具合とか爪の手入れ加減でふとその娘さんやご婦人の現在置かれた状況や運勢について勝手な妄想を逞しうしたりなどしますが、古い造りの、蟲這ひ出てやまぬ部屋に起居する自分こそ八方塞がり蟲の息かなどと日課の蟲殺しの間にふと苦笑してゐるこの頃です。
むしのいきを冠に
胸毛はだけ白髪を染めてのさばれど今は昔のきれぎれの夢
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